2010年11月9日火曜日

農業・食糧生産

1950年から2005年の55年間で、ブラジルの人口は5,100万人から1億8,000万人まで増えました。
この増加率は、毎年2%の人口増加で3倍になっています。
このような食料需要の増大を背景に、ブラジルは農業生産の増大のために、様々な政策を採ってきた。
「真正の緑の革命」と呼ばれる運動が展開され、農業ビジネス複合体の創出が可能となった。だが、農地の拡大は一方で、アマゾンを含む森林地帯の環境破壊をも容認したという負の側面もあった。

ブラジルの輸出品目の上位に入るものは、2006年現在では、大豆及び大豆関連製品(94.7億ドル)、食肉(86.4億ドル)、林産品(78.8億ドル)、砂糖・エタノール(77.7億ドル)と続く。輸出金額は、494.2億ドルに達し、ブラジルの輸出金額の36%を占める。

大豆に関して言えば、アメリカ合衆国に次ぐ生産量を誇る。この数字は、世界の生産量の約4分の1を担っている。最近15年間で生産量は3.5倍に拡大(1,539万トン⇒5,341万トン)となっており、耕地面積は、1990年には974万ヘクタールだったものが2005年には、2,273万ヘクタールに拡大しており、面積あたり生産性も1.5トン/ヘクタールから2.4トン/ヘクタールと大きく上昇した。主な生産地は、パラナ州、リオ・グランデ・ド・スル州、マット・グロッソ州、マト・グロッソ・ド・スル州である。

食肉に関して言えば、2006年時点でアメリカ合衆国に次ぐ第2位の牛肉生産量を誇る。欧米の牛海綿状脳症 (BSE) 発生により、ブラジルの食肉の輸出は大きく飛躍した。鶏肉は、アメリカ合衆国、中国に次ぐ第3位の生産量ながらも、輸出量に関しては、世界1位(世界シェアの40%)を占める。ブラジルの鶏肉生産の強みは、ヨーロッパ、アジアと異なり、生産地が鳥インフルエンザの被災地域よりも距離的に離れていること、伝播の原因の渡り鳥が主要生産地のブラジル中西部から南部にかけて渡来しないという点で強みを持っている。その中で中心的な役割を果たしているのが、JBS S.A.とブラジル・フーズである。牛肉加工で出発したJBSは、企業買収を実施することで、豚肉、鶏肉事業にも参入した。サディアとペルジゴンの経営統合によって誕生するブラジル・フーズは、世界の鶏肉貿易量の25%を扱う。

砂糖生産量が世界第1位(シェア20%)ということも今のブラジル経済を強靭にしている。サトウキビの生産量の3億8248万トンは、世界で第1位である。サンパウロ州を中心に栽培されるサトウキビは、肥料のみでの生育が可能である点、1つの苗で1年間に5回の収穫が可能であること、連作障害がないことも強みである。さらに、バイオマスエタノールに対して、世界的な需要が見込めることはブラジルの農業にとって追い風となっている。


林業

かつてのブラジルの林業は、ブラジルボクや天然ゴムの生産が中心であったが、近年は衰退。アマゾン川流域の天然林を資源とした木材生産が中心となっている。2005年のFAO調査によれば、木炭の年間生産量は8.8百万トンで世界1位、薪炭材生産量は138百万トンで世界第3位、丸太生産量は239百万トンで世界第4位となっている。1990年代以降、東南アジアなど他の木材生産国の多くが、合板など付加価値の高い商品の生産に注力したのに比べ、ブラジル国内の生産構造に変化は少ない。一方、林業経営以外でも農地開発などの森林伐採の需要は相当数存在し、年々、森林率は減少の一途を辿っている。

Agriculture_in_Brazil

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